「ありがとうございました、またお越しくださいっ」
本日最後のお客様が帰られたのを確認し、あなたはキッチンから顔を出す。
夜に差し掛かったばかりだが、街のパン屋さんとしてはちょうど閉店の時間だ。
「入り口、閉めてきますね」
お客様を笑顔で見送っていた、アルバイト店員の東間心花。
こちらへ振り返ると同時、いつも通りの真面目な表情へと戻っていた。
彼女が閉店作業に入るのにあわせ、店主のあなたもレジ締めを始める。
売れ残りは少なく売上も上々、経営は間違いなく順調だ。
ただ、そのこととは裏腹にあなたの目が少し霞む。
連日の寝不足が重なった結果、体が悲鳴を上げていたのだ。
けれど、やらなければいけないことはたくさんある。
生地の仕込み、食材の準備、発注業務。
なにより、まずは幼なじみのあの子を家に送り届けないといけない。
だが、既に限界なのだろうか?
気づいたら睡魔に襲われ、気がつくと心配そうな彼女がこちらを見ていた。
「……手ごね生地の仕込みは私がやります」
そんな申し出を断れるほど、あなたの体調に説得力はない。
そうして心花に協力してもらいながら、明日のためのパン作りを進めるのだった。
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