魔法道具と骨董の小さな店を営む魔女、リーネ。
閉店後、常連の「あなた」と古い小箱を開けた瞬間――ふたりは見知らぬ豪華客船の一等船室で目を覚ましていた。
客船「星月丸」はどこの港にも着かず、扉の下に差し込まれる船内新聞は、いつも同じ日付。
号数だけが増え続け、まるで百年も同じ夜を回っているかのよう。
そして船室の額の絵は、どれも色を失っていた。
絵の中へ入り、港の色を一枚ずつ取り戻すたびに、
百年前にこの船室で旅をした画家と、その妻の「最後の一夜」がほどけていく――。
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