天文二十二年、尾張。プレイヤーは父を亡くした郷士の子として、乱世に出ます。仕える先も、就く役目も、槍の向け方も、すべて選べます。——応仁から元和まで、百四十八年の戦国ノベルゲーム。
このゲームには「正解の選択肢」がありません。選んだ選択肢は記憶され、次に流れる十数場面がまるごと別のものに差し替わります。
武を選べば行軍と修練の日々に、知を選べば密談と書状のやり取りに、情を選べば陣中の飯と死んだ者の追想に。事件と事件のあいだに何が起きるかが、プレイヤーの選び方で決まります。
物語には進路分岐があります。桶狭間の後にどの役目に就くか。比叡山の焼き討ちを見て、織田に残るか去るか。本能寺の後、どこへ走るか。関ヶ原で東西どちらに立つか。大坂城の内と外、どちらの壁の内側にいるか。
武田へ奔れば、三方ヶ原も長篠も天目山も、滅ぼされる側から読むことになります。牢人になれば、堺の塀に貼られた「槍一人扶持二石」の札の前に立ちます。羽柴に走らなければ、四国攻めも九州征伐も、プレイヤーの物語には存在しません。
物語には、史実そのものを折る分岐が隠されています。条件を満たしたときだけ、選択肢に別の色の肢が現れます。
老ノ坂の異変に間に合えば、本能寺の変は「四日で潰えた謀反」として教科書の隅に一行だけ残ります。松尾山を動かさなければ、江戸に幕府は開かれません。
条件を満たせなければ、その選択肢は現れません。歴史は、そのまま史実通りに進みます。
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